PETER — 売り方と予約

京都は「3泊してゆっくりする宿」として売る。
そして Peter に、その一手を持たせる。

Otake さんの直感をデータで照合したら、思っていたより話が具体的でした。連泊は取れないのではなく、まだ仕掛けていないだけです。

2026-07-29 / 有効予約 2,104件(テスト・キャンセル・ブロック除外)で照合

01直感の答え合わせ

「うちの施設はゆっくりされる方と相性がいい」——数字は同意しています。ただし、思っていた形とは少し違います。

全社 3泊以上の予約
10.1%
件数ベース
同・泊数ベース
27.0%
1件で3泊埋まるので、稼働への効きは3倍
Atelier 京都 の平均泊数
1.94
中央値は 1泊。分布が割れている
ホテレジ京都駅前
3.28
同じ京都で、既に取れている

まず押さえたいこと — 連泊は「単価の話」ではなく「稼働の話」

全社で3泊以上は件数では1割しかないのに、泊数では3割を担っています。1件取れば3日分埋まるので、同じ営業努力に対する稼働への効きが1泊予約の3倍ある。ディスカウントの原資も、清掃・チェックイン対応・リネンが泊数あたりで薄まる分だけ構造的に生まれる。値引きしても利益が守れる唯一の方向が連泊です。

施設別・平均泊数(累計・有効予約)

施設予約平均泊  3泊+の泊数比ADR
ホテレジ_京都683.2881.2%¥23,774
渋谷1722.6667.0%¥93,022
京都(Atelier)1461.9452.7%¥58,730
逗子葉山101.7017.6%¥62,735
軽井沢1111.3217.1%¥108,144
VX_軽井沢2281.2913.9%¥45,194
VX_河口湖8491.279.3%¥43,551
VX_軽井沢1881.2411.2%¥51,168
館山1831.186.0%¥150,266
九十九里2031.175.0%¥110,842
南葉山951.1710.8%¥134,981
南房総361.147.3%¥85,378
晴海151.130.0%¥77,352

上位3施設だけが2泊以上の世界にいて、残り10施設は完全な1泊型。連泊は全社一斉にやる施策ではなく、京都・渋谷で型を作ってから横に展開するものだと数字が言っています。

02Atelier 京都を分解する

146件を客層とチャネルで割ると、連泊が「誰に効いていて、誰に効いていないか」がはっきり出ます。

客層別

件数平均泊
日本681.12
米国202.75
豪州112.64
英国82.88
中国52.40
香港42.75

チャネル別

チャネル件数平均泊ADR
Airbnb782.14¥59,867
Booking.com332.21¥57,051
一休.com171.24¥65,047
直販・会員171.24¥50,109

泊数の生分布: 1泊 76件 / 2泊 29件 / 3泊 22件 / 4泊 13件 / 5泊 5件 / 6泊 1件

ここが今日いちばん大事な発見です

連泊しているのは、すでに欧米豪のインバウンドです。米国 2.75泊・英国 2.88泊・豪州 2.64泊。土壌はもう出来ている。一方で日本人は 1.12泊 = ほぼ全員が1泊で、これは価格弾力性の外にある文化的な旅程です。国内客を値引きで連泊に変えにいくのは、たぶん一番割の合わない戦い方になります。

そして決定的なのが、同じ京都・同じ Airbnb で、ホテレジ京都駅前が 3.18泊(51件)を取っていること。Atelier 京都の Airbnb は 2.14泊。ここまで割れるのは市場の問題ではありません。取れないのではなく、Atelier 京都では仕掛けていないだけと読むのが自然です。社内に手本があるのは幸運です。

03なぜ Peter は今まで一度も連泊を提案しなかったのか

性格の問題ではありませんでした。構造的に不可能だったんです。

Peter は毎日 71件の提案を出しています。件数は十分です。でもその中身は、「上げる/下げる/開ける/閉める」の4通りにしかならない。3レーン(月間ペース低下・週末ペース低下・K攻撃解除)をどれだけ精度よく回しても、そこから連泊施策は1件も出てきません。

原因:Peter の世界には「滞在の長さ」という次元が無い

Peter が唯一操作できるのは、SoT の 高価格ブロック_ シート=ランク表です。ランク表は「1泊いくら」の表であって、何泊するかという軸を持っていません。だから Peter は、どんなに賢く考えても、必ず「1泊単価をどう動かすか」に答えを射影してしまう。

その証拠が SoT/pricing/pricing_rules.md §6 です。「連泊割(2泊以上で割引)」「長期滞在割(7泊以上等)」は "未設定・TBD" のまま置かれていました。ルール側に器が無いので、実装側にも生まれようがなかった。

アグレッシブになれない理由は、意欲ではなく次元です。
持っている軸が1本しかない相手に「もっと色々考えて」と言っても、同じ軸の上をより速く往復するだけになります。

使える武器は、実はもう全部 Peter の手の届く場所にあります

武器どこにあるかAtelier 京都での現況
週・月単位料金Booking.com プロモーション(Targeting)未設定提供中6件の中に無い
長期滞在ツールキットBooking.com long_stay_toolkit.html未着手画面を開いたことすらない
週割・月割Airbnb未調査最大チャネルなのに販促面が空白
季節別の最低宿泊日数Airbnb / AirHost未活用設定は可能
連泊割(会員側)SoT ランク表規定なし§6 が TBD のまま

Booking.com 側は 2026-07-28 に全6施設を棚卸し済みで、URL も操作手順も既に knowledge/booking_com/INDEX.md にあります。調べ直す必要はなく、開いて設定するだけの距離にあります。Airbnb の販促面だけが本当の空白です。

04アグレッシブな Peter を、3つの層で作る

「毎日あれこれ考えながら探す・提案する・実行する」を分解すると、足りないものが3つに分かれます。

01
武器 — 操作できる次元を増やす 要判断あり
1泊単価と在庫だけだった操作対象に、滞在の長さ(連泊割・最低泊数)と露出(Genius・Visibility Booster)を足す。ここが埋まらない限り、他の2層をいくら足しても出口が1つしかない。最初にここです。
02
意図 — 施設ごとの「売られ方」を持たせる 本日 器を作成
Peter は施設を稼働率と単価としてしか知りませんでした。「この宿は3泊してゆっくりする場所だ」という性格を読める形で持たせる。今日 SoT/pricing/facility_direction.md を新設し、京都のディレクションを書き込みました。提案を組む前に必ず読む位置に置いてあります。
他12施設は意図的に空欄です。空欄は「無い」ではなく「まだ言語化されていない」。Peter が数字を見ていて気づいたら、日次カルテにディレクション提案を1件出す——空欄そのものが Peter の仕事になります。
03
探索 — レーンの外を見る層 設計案
今の3レーンは私が書いた if 文です。だから Peter は「私が想定した4種類の思考」しか繰り返せない。その横に、実データをそのまま眺めて「レーンに無い気づき」を出す層を置きます。週2〜3回・1〜2件で十分。件数を増やすと日次カルテが埋もれます。
今回の「同じ京都で 3.28泊 と 2.14泊 に割れている」は、まさにこの層が出すべき気づきでした。レーンでは絶対に出ない種類の発見です。

優先順位の理由

03 の探索層が一番おもしろそうに見えますが、順番としては最後です。武器が2つしかない状態で探索層を足すと、「いい気づきは出るのに打ち手が無い」という一番フラストレーションの溜まる状態になります。01(武器)→ 02(意図)→ 03(探索)の順で積みます。02 は今日すでに置いたので、残りは 01 の判断待ちです。

05京都で最初に撃つ手(判断が出たらこの順で)

狙いは「インバウンドの 2.1泊 を 3泊に伸ばす」一点に絞ります。日本人 1.12泊は追いません。

#場所性質
1 ホテレジ京都駅前の設定を読む
最低泊数・週割・プラン構成。なぜ 3.28泊 が取れているかを先に解く
Airbnb / 楽天 読むだけ・可逆Peter が単独でやれる
2 Airbnb 販促面の棚卸し
週割・月割が Atelier 京都でどうなっているか。最大チャネルなのに空白
Airbnb 読むだけ・可逆Peter が単独でやれる
3 週・月単位料金の設定
Targeting カテゴリ。3泊以上に効かせる割引
Booking.com 外部・金銭承認必須
4 効かない施策の整理
直前割引15%は12ヶ月で予約ゼロ。効いていないのに最大値引き幅だけ押し上げている
Booking.com 外部・金銭承認必須
5 連泊の訴求文言・写真
「3泊してゆっくりする宿」を掲載面で言い切る
各OTA 掲載面 Brandon 領域Peter は触らない

1・2 は今すぐ着手できます(読み取りだけなので承認不要)。3・4 は外部公開かつ金銭に直結するので、内容を見せてから。5 は掲載面なので Brandon に渡します——ここは境界を守ります。

06返答が要るのは1点だけです

残りはこちらで決めて進めます。

連泊割を、どこに・どれくらいの幅で置くか

連泊割の「原資がある」ことは構造的に言えますが、それをどこに実装するかで意味がまったく変わります。金銭に直結し、かつ外部配信されるので、ここは推奨をプリセットせずにお聞きします。

中身効く相手効かない相手
A OTA側だけ
Booking.com 週・月単位料金 + Airbnb 週割
インバウンド(既に2.6〜2.9泊) 会員・直販(1.24泊のまま)
B 会員ランク表側だけ
§6 の TBD を開けて連泊割を規定に足す
会員・直販 OTA経由(=今の連泊の大半)
C 両方 全チャネル —(ただしランク表の構造変更を伴う)

幅について:Booking.com は1予約に複数該当するとカテゴリごとの最大割引が掛け算されます。Atelier 京都は既に Targeting 10% × Portfolio 15% = 23.5%引きの枠を使っているので、週・月単位料金は Targeting 同士で既存のモバイル割引10%と競合し、置き換わります。「10%より大きくしないと意味が無い」構造なので、幅の指定もあわせていただけると迷いません。