オーナーレポート/収支詳細シート

収支詳細の様式改革 — 視認性と、科目区分

7月の月送りに乗せる前に、収支詳細シートの「読ませ方」を作り直します。あわせて、前任者が組んだ科目の区分を実態に寄せます。2つは別トラックで進めます。

今日決めたい:科目を何の軸で切るか 切り出し:科目再編は別トラック 対象:9施設 × 13ヶ月ローリング
01 — 発端

なぜ今これか

キャンセル料の行区分(宿泊状況一覧)は実装・様式とも確定しました。同じワークブックの収支詳細シートを開いたとき、そこは手つかずのままだと分かりました。

収支詳細はオーナーが毎月いちばん長く見るページです。ところが今、強弱を付ける手段がほぼ全部空いています。塗りは3色だけ、フォントは全行 Arial 10pt で同一、行の高さも全行 15.8 で同一、Excel のグループ化(折りたたみ)は 1ヶ所も使われていません。

左端に、幅 2.9 の細い空列がすでにある
A列は全行で塗りなし・ほぼ全行が空欄のまま、幅だけ 2.9 に絞ってあります。カラーバンドを通すために用意された列が、置かれたきり使われていない状態です。おっしゃっていた「一番左端の列の塗りつぶし」は、新しく作らなくてもそのまま使えます。
02 — 現況

いまの収支詳細を、書式だけ剥がして見る

表現手段いまの状態空いているか
行の塗り大区分3つが全部おなじ薄緑 D2F1DA。売上もコストも見分けが付かない色の意味づけが未使用
左端A列の塗り全行 塗りなし(幅2.9の空列だけ存在)まるごと空き
フォントサイズ全行 Arial 10.0pt。親科目も子科目も同じ階層の強弱ゼロ
フォント色指定なし(=全部 黒)グレーによる減衰が未使用
インデント列位置(B/C/D)でずらしている。効いてはいる唯一 機能している階層表現
罫線全行おなじ thin。ブロックの切れ目が見えない区切りが未使用
グループ化(折りたたみ)outlineLevel 全行 0 = 1ヶ所も使っていないまるごと空き
ウィンドウ枠の固定None。横スクロールすると科目名が消えるまるごと空き

出典:202606/01_入力用/YS九十九里.xlsx を openpyxl で直接読み出し。他施設も同一テンプレ由来のため同じ状態です。

03 — 核心

完成形(実物)

九十九里・2026年6月の実数をそのまま入れています。右側の子科目行はクリックで開閉します。手を動かして畳んだり開いたりしてみてください。

いま51行 / 全部おなじ強さ
カテゴリ6月
収支結果
売上672,389
会員売上80,909
OTA売上591,480
内清掃代(6日分)0
内オプション売上(BBQグリル)0
コスト407,457
清掃257,190
清掃業務249,190
ごみ処理8,000
リネン41,130
洗濯(コインランドリーなど)0
備品関連19,197
アメニティ4,399
洗面・バス アメニティ0
清掃用具0
リネン関係0
補充7,551
キッチン関連2,891
焚き火関連0
プール管理0
現地購入0
ドリンク0
インフォ0
ペット用品0
BBQ用品0
施設代用品0
その他4,356
洗濯機リース0
水道光熱費66,355
電気41,445
ガス2,010
水道22,900
通信14,553
ALSOK5,810
保険料3,222
配送料
業務委託料+その他の費用197,926
業務委託料(22%)147,926
システム保守料20,000
物件管理費30,000
オーナーご負担交通費
お支払い額67,006
 
経営管理指標
ADR(1部屋当たり単価)84,049
稼働率26.7%
1泊あたり清掃費&リネン費37,290
こうしたい既定18行 / 開けば全部見える
カテゴリ2026年6月
売上672,389
会員売上80,909
OTA売上591,480
内 清掃代0
内 オプション売上0
コスト407,457
清掃・リネン298,320
清掃業務249,190
リネン41,130
ごみ処理8,000
洗濯0
消耗品5科目19,197
備品購入当月なし0
施設維持費7科目89,940
施設特有費用当月なし0
業務委託料+その他の費用197,926
業務委託料(22%)147,926
物件管理費30,000
システム保守料20,000
オーナーご負担交通費0
お支払い額67,006
経営管理指標
ADR(1部屋当たり単価)84,049
稼働率26.7%
1泊あたり清掃費&リネン費37,290
売上=青 コスト=赤 お支払い額=コーポレート緑 指標=グレー

何をどう変えたか

手を入れたところねらい
左端A列にカラーバンドを通す「ここからここまでが売上/コスト/手残り」を、目線を横に動かさずに掴ませる。すでにある空列を使うので列構成は動かない
3ブロックを色で分けるいまは全部おなじ薄緑。青=入る/赤=出る/緑=残る、の3色に割り当て
お支払い額を上下2本の緑罫線で挟む着地点をページ内で一番強くする。オーナーが最初に探す数字
階層でフォントを落とす大区分 10.5pt太字 → 中科目 10pt → 子科目 9pt グレー。子科目は「必要な時だけ読むもの」として弱める
ゼロ行をさらに淡いグレーに数字が入っていない行を、消さずに後ろへ下げる
子科目をグループ化して既定で畳む既定 18行。提出PDFは畳んだ姿で焼ける。社内Excelでは [+] で開いて明細を追える
ブロック間に空行を1本ずつ罫線ではなく余白で切る。詰まった印象が抜ける
ウィンドウ枠を固定する13ヶ月を横スクロールしても科目名が残る
折りたたみは、提出PDFと社内Excelを同時に成立させます
Excel のグループ化は「畳んだ状態で保存 → PDF出力すると畳まれた行は出ない」という挙動です。つまりオーナーには18行の締まった1枚が届き、社内では [+] を押せば全明細が出る。行を消す必要がありません。
赤の濃さは、オーナー向けとして一段落とします
コストに彩度の高い赤を当てると「赤字」の含意が出て、オーナー資料としては読み味が重くなります。モックでは #C0553F のレンガ寄りに抑えています。ここは実物を見て調整したいところです。
03b — 大項目の連なり

手取りまで含めた、上から下への流れ

最初のモックで「オーナー様お手取り額」を落としていました。実装の漏れです。九十九里で作って確認したのですが、九十九里には手取り行が無いため気づきませんでした。入れた上での大項目の見え方が下です。

データは渋谷・2026年5月の実数。控除(ご負担 光熱費 104,115)が実際に効いている月なので、流れが見えます。

大項目だけを抜き出した姿緑は最終着地に1つだけ
カテゴリ2026年5月
売上1,976,818
コスト683,197
業務委託料+その他の費用247,682
お支払い額1,045,939
− オーナー様ご負担 光熱費104,115
オーナー様お手取り額941,824
主要KPI
ADR(1部屋当たり単価)98,841
稼働率67.0%
1泊あたり清掃費&リネン費15,163
RevPAR(1日あたり売上)65,894
会員売上比率0.0%
1泊あたり運営コスト46,544
オーナー手残り率47.6%

緑を2つ置かない

「お支払い額」と「お手取り額」を両方おなじ緑で塗ると、どちらが着地点か分からなくなります。意味も違っていて、前者は弊社からお支払いする額、後者はオーナー様の手元に残る額です。オーナー様が最後に見るのは後者なので、

お支払い額(中間)左端の帯だけ緑。塗りは載せず、緑文字の太字にとどめる
− ご負担 光熱費(控除)コストと同じ赤。頭に「−」を付けて引かれる行だと一目で分かるようにする
お手取り額(最終)帯を濃い緑にし、塗り+上下2本の罫線+1ポイント大きく。ページ内で一番強い行

手取り行を持たない施設(九十九里・軽井沢・南葉山など)では、「お支払い額」がそのまま最終着地なので最強の書式が当たります。館山は「GOP(オーナー手残り)」が最終で、控除ブロックが「オーナー負担費用(家賃・水道光熱費)」になります。3タイプとも同じ規則で描けます。行番号は施設ごとに全部違う(京都45/47/48・渋谷43/45/46・館山39/43/51)ので、ラベルで解決しています。

03c — 主要KPI

「経営管理指標」を改称し、4本足しました

足した4本はすべて既にシートにある値だけで出せます。経理への追加入力も、新しいデータ源も要りません。宿泊日数は 稼働率 × 30 で13ヶ月ぶん復元できます(稼働率の定義がそもそも 泊数÷30 なので)。

指標計算何が分かるか
RevPAR(1日あたり売上)売上 ÷ 30ADR と稼働率を1つに畳んだ業界標準。施設の収益力を1数字で比べられる。ADR が高くても稼働が低ければ下がる
会員売上比率会員売上 ÷ 売上直販の比率。裏返すと OTA 依存度。手数料の重さに直結する
1泊あたり運営コスト(コスト+委託料)÷ 宿泊日数既存「1泊あたり清掃費&リネン費」の全体版。1泊増えたら幾ら増えるか。新規施設の試算に効く
オーナー手残り率お手取り額 ÷ 売上最終収益性。金額だけだと施設間で比べられないが、率なら並べられる
「共通/施設特有」で切った効果が、5本目の候補として使えます
新しい科目構成では 施設維持費(電気・ガス・水道・通信・警備・保険)が1つに束ねられます。これは稼働にあまり左右されない月額の基礎費用なので、「稼働ゼロでも毎月出ていく額」として KPI に置けます。1泊あたり運営コストと対にすると、新規施設の損益分岐が引けます。
ただし光熱費は稼働で多少動くため「固定費」と言い切るのは正確ではありません。載せるかどうかはご判断ください(今回の4本には入れていません)。
RevPAR の分母は、並行して直っている稼働率に合わせます
このページを書いた時点では「稼働率は全施設 ÷30 のベタ書きで実日数を見ていない」状態でした。ところが同じ日の別セッションで、月送り時に対象月の実日数を分母として書き込む修正がすでに入っています(202607分から適用・館山の手書きズレも構造的に解消)。
RevPAR も 売上÷30 で組んであるため、そちらに合わせて実日数へ揃えます。上のモックの数値は旧分母(30)で計算した値なので、7月分では 31日で割った値に変わります。
04 — 切り出し①:科目の実態

いまの区分が、どれだけ機能していないか

「備品関連」の子科目15個を、詳細型5施設 × 13ヶ月 = 65セルで数えました。金額は9施設13ヶ月の合計です。

子科目計上のあった月13ヶ月合計構成比
アメニティ43 / 65769,84026.6%
その他51 / 65631,03421.8%
補充49 / 65496,54717.1%
ドリンク48 / 65356,69612.3%
キッチン関連47 / 65249,5688.6%
清掃用具51 / 65162,8865.6%
リネン関係27 / 6570,1902.4%
BBQ用品16 / 6554,1641.9%
洗面・バス アメニティ※表記3種に分裂8 / 6540,1291.4%
現地購入17 / 6529,9441.0%
プール管理8 / 6514,3400.5%
インフォ13 / 6512,1620.4%
ペット用品10 / 6511,4810.4%
焚き火関連0 / 52013ヶ月ゼロ
施設代用品0 / 65013ヶ月ゼロ

15科目のうち上位6つで92%。残る9科目の合計は 232,410円で全体の8%、うち2科目は13ヶ月まったくゼロです。

いちばん効くのは「その他」が第2位だということ
「その他」が単独で 631,034円・全体の21.8%を占めています。分類が実態に合っていれば「その他」は最小になるはずです。ここが2番目に大きいのは、用意された14個の受け皿のどれにも入らない支出が、恒常的に出ているということです。おっしゃっていた「分けることによって意味がある分け方になってない」は、この数字にそのまま出ています。

もう2つ、見つかったもの

表記ゆれ「洗面・バス アメニティ」が3種類の別科目として存在します(全角スペース1個/2個/改行入り)。集計上は別物として扱われるため、合計が割れます
施設で構造が2種類詳細型5施設(九十九里・京都・渋谷・軽井沢・館山=48〜51行)と、簡略型4施設(VX軽井沢2・南房総・南葉山・逗子葉山=20〜22行)。後者はすでに「清掃、リネン、洗濯」「備品関連」に統合済みで、事実上畳んだ姿がもう存在します

簡略型がすでに動いているのは、統合しても運用が回ることの実地の証拠です。ゼロから設計するのではなく、両者の中間に一本の線を引く話になります。

05 — 切り出し②:再編案

何の軸で切るか

いまの15科目は用途の軸(BBQ・プール・ペット・キッチン)だけで切られています。おっしゃっていた「消耗品」「備品購入」は性質の軸で、今はどこにも存在しません。だから「アメニティ」(使えば無くなる)と「施設代用品」(買えば残る)が同じ階層に並んでいます。

いま — 用途の1軸だけ

  • 備品関連 の下に15個フラット
  • 使い切るもの/残るものが混在
  • 用途の受け皿から漏れた分が「その他」へ(21.8%)
  • 施設固有の用途(プール・BBQ・ペット)が常時ゼロで居座る

案 — 性質を主、用途を従に

  • 消耗品備品購入 を性質で分ける
  • 施設維持費(稼働と無関係な固定費)を束ねる
  • 用途は捨てず 施設特有費用 へ寄せて既定で畳む
  • 大区分5つ = 一目で掴める数に収める

BBQ用品・プール用品といった用途区分は残します。「あってもいい」とのことでしたし、実際に出る施設では意味があります。ただし常時ゼロの施設で1行を占め続ける必要はないので、畳める場所へ移します。

ここは Otake さんにしか答えが無いところ

上の案は「消耗品と備品購入を分ける」というご発言から組みました。ただ分けた先で何を判断したいのかによって、切る線が変わります。

もし見たいのが…切る線
稼働が増えたらいくら増えるのか変動費/固定費で切る。清掃・リネン・消耗品が変動、光熱・通信・警備・保険が固定
1回きりの支出はどれか(今年いくら投資したか)消耗品/備品購入で切る。上の案の形。買って残るものを別建てにする
この施設だけ何にお金がかかっているのか共通/施設特有で切る。プール・BBQ・ペットを独立させる
これから増えるコストに備えたいまず「その他」631,034円の中身を明細から割るのが先。新しい受け皿はそこから決まる

1つに絞る必要はありません(性質を主・用途を従にすれば2軸同時に見えます)。ただどれが主かだけは決めておかないと、また「その他」が育ちます。

06 — 移行

過去12ヶ月をどうするか

収支詳細は13ヶ月ローリング(E列〜Q列)です。科目を変えると、当月だけでなく過去12ヶ月の列も新科目に載せ替えが必要になります。ここが「大きい」と言われていた部分です。調べたところ、作業量は変更の種類でまったく違いました

統合(足し算)は過去13ヶ月まるごとやり直せる。分割(割り算)は明細が要る
2科目を1つにまとめるのは行の足し算だけなので、明細を見に行かずに過去列を全部作り直せます。逆に1科目を2つに割るには、1件ずつどちらか判定するために明細が要ります。
やりたいこと種類過去列必要なもの
死に科目の統廃合・表記ゆれ解消統合13ヶ月すべて再構成できるなし(行の足し算のみ)
大区分の組み替え(施設維持費を束ねる等)統合13ヶ月すべて再構成できるなし
消耗品/備品購入 の新設分割明細のある月だけコスト一覧の明細を1件ずつ判定
「その他」631,034円の分解分割明細のある月だけ同上

明細の在庫を確認しました。2025年6月〜2026年6月の13ヶ月分、月フォルダのコスト一覧に明細が揃っています(202601〜202606 で399行)。ただし2025年側は6施設のみで、軽井沢2・南房総・逗子葉山は後発のため遡れません。

PHASE 1 — 統合だけ

7月の月送りに乗せられる範囲

視認性の書式一式 + 死に科目の統廃合 + 表記ゆれ解消 + 大区分の組み替え。すべて足し算なので過去13ヶ月ごと作り直せます。金額の合計は1円も動きません(区分の付け替えだけ)。

PHASE 2 — 分割

切替月から前へ進める範囲

消耗品/備品購入の新設と「その他」の分解。明細の1件ずつ判定が要るので、まず1施設・1ヶ月で試して、判定ルールが安定してから9施設×13ヶ月へ広げます。

分けた理由は単純で、Phase 1 だけなら過去も含めて完全に整合した状態で出せるからです。Phase 2 を待って両方まとめて出すと、7月分がまるごと今の見た目のまま出ることになります。

07 — 未確定

まだ分かっていないこと

経理側の入力動線科目を変えると、経理が毎月コスト一覧のA列に入れているカテゴリ名も変わります。誰にどう伝えるかは未検討です
コスト一覧K列の正体「消耗品費」「客室仕入れ」「料飲消耗品」「雑費」といった会計寄りの科目名が入っていますが、埋まっているのは399行中109行(27%)、しかも202605以降だけで、値に「4月」「5月」が混入しています(列ずれと思われます)。会計側と揃えるべき軸のヒントにはなりますが、そのまま使える台帳ではありません
簡略型4施設の扱いすでに統合済みなので、新構造に合わせて開くのか、今のまま据え置くのか
館山の構造1施設だけ「オーナー負担費用」「GOP」を持つ別建て。今回の再編に含めるかは別判断です
08 — 判断

お返事をいただきたいところ

2件だけです

① モックの完成形で進めてよいか

色の割り当て(売上=青/コスト=赤/お支払い額=コーポレート緑)、階層でのフォント減衰、ゼロ行のグレーアウト、子科目の既定折りたたみ。

A(推奨) このまま進める。7月の月送りに Phase 1 として乗せる
B 色の割り当てを入れ替える(例:売上=緑/手残り=青)
C 畳みすぎ。子科目は既定で開いておく
無回答なら A で進めます。色の入れ替えは後からでも1行で効くので、ここで止める必要はないと考えています。
② 科目を切る「主の軸」はどれか

05 の表のうち、いちばん見たいものを1つ。ここだけは実際に何を判断したいかによるので、こちらでは決められません。

A 消耗品/備品購入(1回きりの支出を分けたい)
B 変動費/固定費(稼働が増えたらいくら増えるか)
C 共通/施設特有(この施設だけ何にかかっているか)
D まず「その他」631,034円の中身を割ってから決める
無回答なら、Phase 1(統合・書式)だけ先に進めて Phase 2 は着手しません。Phase 1 は軸の選択に依存しないので、②が決まらなくても7月分は出せます。
出典:G:/YHRKHR/オーナーレポート/202601〜202606・2025年/01_入力用 の全 xlsx を openpyxl で直接読み出し(9施設・明細399行・13ヶ月ローリング)。書式の棚卸しは YS九十九里 202606。
数値は 2026-07-28 時点。金額はすべて税抜。