BM ・ オペレーションの時間 2026-09-17

川久オーベルジュを、
言葉と中身の両方から育てる

話し手: 大竹 決める場ではなく、皆さんの知見をいただく場として

発端。建物ができ、9/12 の試泊を経て、9/16 に社長がコンセプトを「王様の別荘」と言葉にされました。 今日は、このオーベルジュをブランディングとマーケティングで価値を高め、売りやすくするには、どこに力を使うかを話したいと思います。 前提は、中身が伴っていることです。

01

言葉と中身を、両方そろえる

個別の話に入る前に、今日の話の全体の形を共有させてください。

言葉と中身の二つの柱が、オーベルジュの価値を高め売りやすくすることにつながる図
図1言葉と中身は、互いに支え合う。中身があるから本当のこととして言え、言いたい姿があるから育てる中身が決まる。

オーベルジュの価値を高めて、売りやすくする。そのために見るものは2つです。

言葉は、このオーベルジュの魅力を的確に伝えるものです。これまでにたくさんの言葉が出てきましたが、建物ができた今だからこそ出てくる言葉は、まだ見つけきれていません(2章・3章)。

中身は、実際にできることです。枠組みは決めたけれど、中身がまだ追いついていない所があります。そこに優先してエネルギーを使う必要があります。その中心にいるのがバトラーチームです(4章・5章)。

この2つは片方だけでは成り立ちません。中身があるから、誇張ではなく本当のこととして言えます。逆に、どう言いたいかが見えているから、何を育てればよいかが決まります。

「実際にこれができるから、日本一です」と言える状態をつくる。

なお、ここは36組の方だけの場所です。広く集める発信はせず、載せる場所も絞る前提で話しています。

02

このオーベルジュを表す言葉は、これまでにこれだけ出てきた

計画のときの言葉と、できあがった場所から出てきた言葉を並べます。どれが今も効いていて、どれが足りないかを見るための棚です。

ブランドブック

2026年3月・計画時点の言葉

  • あなたが人生でまだ手に入れていないコレクションが、ここにある。
  • うつくしい眺望だけの別荘ならもう知っている。
  • はなす、たべる、いたわる、わらう、あそぶ。そのすべてを刻みたい。
  • 私たちが考える迎賓
  • 別荘ではできなかったこと、ホテルではかなわなかったこと
  • 別荘だけでなくホテルも所有しているとでも言えるだろうか。
  • 特別な場所にしか建たないからこそ、自然の恵みをあなたのものにできる。
  • 静かに過ごす時間と、外へ向かう時間。

サービスコンセプト

2026年3月・社長と合意した言葉

  • ホテルの安心感、別荘の自由、レストランの味。3つすべてが、1つの場所で同時に成立する。「第三の選択肢」
  • ここは、世界でただ36人のための場所。
  • 許可を求めない。指示を出す。「開けといて」と言う前に、すでに開いている
  • 味・技・場この3つが揃ったとき、滞在は「体験」から「暮らし」に変わる
  • 「連れてきてよかった」——その一言のために、すべてを設計する。
  • 人に話したくなる夜
  • 主(あるじ)・黒子・先回り・守り人・滋味・祝う

9月、できあがった場所から

建物ができて、泊まって、見て出てきた言葉

  • 王様の別荘
  • 手を挙げれば人が飛んでくることに慣れると、無人の別荘には戻れない
  • とんでもないものを作っちゃった。/ここは一生持てそう
  • ハワイのよう
  • 南仏・アマルフィの高級リゾートの世界観
  • 謙虚な誇り
  • 登る山が富士山に決まった
  • 日本でいちばんのチームなら、いまここで何をするか。

計画時点の言葉は、ブランドムービーをつくるときにも相当すり合わせていて、強い言葉になっています。 一方で、9月の言葉は、できあがった場所を実際に見て、泊まって出てきたものです。「ハワイのよう」「南仏・アマルフィ」は、計画時点の言葉にはほとんど無かった向きです。

「プライベート・リゾート・クラブ」の三語を、ここに当てると

9/15 のBMに向けて、クラブ名の三語を分解しました。これもブランディングの話なので、このオーベルジュに当て直します。

言葉これまでに書かれていることこのオーベルジュで見えているものまだ空いているところ
プライベート「ここでは、何者でもなくていい」。鎧を脱ぐ場所をお渡しする1棟を1組で使う。許可を求めず、指示を出せる—
リゾートブランドの正本には一度も出てこない。「日常の最上位版」と「日常から離れる場所」が並んで書かれている「ハワイのよう」「南仏・アマルフィ」。作る側には、リゾート感をつくる意図がもともと無かった日常の延長か、離れる場所か。見た目はどこに寄るか
クラブ会員制であることは、規則として決まっている36組だけ。同じ立場の方が持つ場所その言葉が何を約束するのかは、まだ文章になっていない

ここには王様の別荘が、リゾートとクラブの空いているところに入る言葉の候補になるのではないか、という見方もできます。人がいる別荘であり、36組の主(あるじ)だけの場所だからです。

03

言える事実と、まだ見つけていない言葉

できているから言える。けれど、それを的確に、魅力的に表す言葉が見つかっているかは別の話です。

場所・建物・人・食について、事実として言えるかと、言葉が見つかっているか
図2事実として言えるのは場所と建物。ただ、言葉として磨けているのは場所だけで、それも計画時点の言葉。

場所は、ブランドムービーをつくる時に相当すり合わせた言葉があり、強い言葉になっています。 ただ、それは計画時点の言葉です。実際にできあがった場所を中で見て、感じたところから出てくる言葉は、まだこれからあるはずです。

建物も、できているから言えます。けれど、それを的確に表す言葉はまだ見つけていません。 試泊では「ハワイみたい」「リゾートっぽい」という受け止めも出ました。ここはもっと消化すると、言葉になると思います。

人と食はこれからです。

何が言えること事実言葉
場所川久の敷地の中にある。南紀白浜の海と漁場が近い言える計画時の言葉
建物プール、サウナ、屋上のお風呂(ルーフトップバス)。1棟を1組で使う言えるまだ見つけていない
人滞在中、決まった担当がつく(1泊2日でおよそ35時間)これからこれから
食Café de Kawakyu(10/9〜11 オープンイベント、11月中旬に正式オープン)。2階のレストランはこれからこれからこれから

試泊で、できたこと・できなかったこと

できた手を挙げる深夜0時の迎えにも人が出た。営業時間ではなく、主(あるじ)の都合で動いた。
できなかった店の席まで送り届けは店の入口まで。会議では「先に店へ入り、席を確かめ、椅子を引くところまでできたら」という話が出た。
できなかったプールの後会議では「BBQの一皿を残しておき、プール上がりに果物を少し差し出せたら」という話が出た。
「手を挙げれば人が飛んでくることに慣れると、無人の別荘には戻れない」 村上さん(9/16 バトラーチーム会議の録音要約より。外に出す前に、引用してよいか確認が要ります)

9/16 の会議では、国内の主要なラグジュアリーホテルでも、決まった担当が滞在中ずっとつく形は無いという認識をチームで共有しました。 販売と管理費の仕組みがあるから成り立つ水準です。ここが「王様の別荘」の中身の核になると考えています。

王様の別荘は、関係者全員が頭に置いておく言葉にしたいと思います。10/20 のメディアデーなど、このオーベルジュのプロジェクトを語る場でも使っていけばよいと考えています。

04

枠は決めた。中身が追いついていない所

ここからは実装の話です。

現地のスタッフが毎回できるようになるには、何が要るのか。そのギャップを見つけたら、埋めるのは私と山本さんです。 今日は細かい段取りではなく、この見方と方向性に問題がないかを確認させてください。

決めた枠と、できる中身の差。その差に力を使う
図3枠(決めたこと)と中身(毎回できること)の差。差の部分が、今エネルギーを使う場所。
領域枠(決めたこと)中身の状態埋めるために要るもの
バトラー10の原則。「謙虚な誇り」。待つのではなく先導する途中 迷ったときの判断の軸が無い。試泊をまだ全員はしていない(本人たちの振り返り)迷ったときの判断の軸を言葉にする。全員が一度泊まる
手順店までの送り届け、部屋の整え直し、配車のタイミングこれから 試泊ではできなかった。会議で「こうできたら」という形が出た段階手順書にして、全員で練習する
過ごし方船、アドベンチャーワールド、釣り、ゴルフカートこれから 提案の準備不足を本人たちが自己申告。船は2027年夏が目標アクティビティごとの段取りと、提案の型
食バトラーと並ぶ、もう一本の柱これから 2階のメニューと提供の形が未定。料理を説明する言葉もまだメニューが決まったら、料理を語る言葉
外に出す言葉「王様の別荘」これから 関係者の頭にはまだ入っていない。ブランドブック、ムービーは3月版の言葉のまま王様の別荘を、関係者の共通語にする
外注・制作物の状況(記録にある範囲・4件)
  • ブランドブック: DD社。3月版
  • ブランドムービー: 本編はDD社、ダイジェストはパルス社。ダイジェストの受け取りは記録上未確認
  • 公式サイト: 記録上、担当が見当たりません(確認が要ります)
  • プレスリリース: 柏崎さん承認済み。メディアと県庁へ約10社(9/14)
05

バトラーチームを、売りやすさの側から見る

マーケティングとブランディングの目線で見たとき、どういう状態の、何ができる彼ら彼女らであれば、あそこはより売りやすくなるか。わかりやすい目印は「日本一」です。

その状態に届くまで育てるのは、私と山本さんの役目です。ここでは、目指す姿と、いまとの差の見立てが合っているかを見ていただきたいと思います。

なぜバトラーチームから見るか

  1. 36組すべてに、毎回効くのは人です。建物は一度つくれば変わりません。差が出るのは、毎回の滞在で誰が何をするかです。
  2. よそが真似できません。決まった担当が滞在中ずっとつく形は、販売と管理費の仕組みがあるから成り立ちます。ホテルの料金の組み立てでは出せません。
  3. 外に言う一文が、そのまま研修のゴールになります。「これができるから日本一」という一文を先に決めれば、バトラーが何をできるようになればよいかが一本でつながります。売る言葉と現場の型がずれません。
いま、育てること、言えることの順に育ち、考えるときは言えることから逆算する
図4育つのは「いま → 育てること → 言えること」の順。考えるときは逆に、言いたい姿から何を育てるかを決める。

「日本一」を、5つの一文に分けると

言いたい一文(案)支える、できることいま育て方
手を挙げれば、人が来ます決まった担当が、深夜も含めて応える試泊でできた連泊(2〜3泊)でも続けられるかを練習する
頼む前に、差し出されています場面を読んで、少しだけ先に出す試泊ではできず「言われなくて嬉しかった」場面を集めて型にする
店の席まで、送り届けます先に入る、席を確かめる、椅子を引く試泊ではできず手順書にして、全員で練習する
部屋は、いつも次に備えています外に出た間に、その都度整え直す手順なし入ってよい範囲を、チェックイン時に伺う形にする
何も決めなくて、大丈夫です過ごし方を先に整えて、ご提案する準備不足過ごし方の提案と、到着から見送りまでの流れを1本にする

最後の「到着から見送りまでの流れ」は、9/16 に宿題として出ています。研修の資料であると同時に、そのまま売る場で話せる中身になります。1本で両方に使いたいと思います。

あわせて置いておくこと

食も同時に進めます。食とバトラーのどちらか、ではありません。この章は、その中のバトラーチームの話です。

人に頼る約束は崩れやすい、という見方もあります。担当が変われば水準が変わります。だからこそ、人の力を「手順」と「判断の軸」に落とすところまでを、育てる中身に含めたいと思います。

06

皆さんと考えたいこと

決める場ではなく、皆さんの知見をいただきたい場です。

4章・5章の見方と方向性に、違和感や抜けはないでしょうか。

ギャップを埋める実装は、私と山本さんが引き受けます。その前に、向きが合っているかを伺いたいと思います。

「日本一」と言い切るには、あと何ができればよいでしょうか。

5章の5つの一文で、足りないもの、言い過ぎのもの、ほかに言えそうなものを伺いたいと思います。

この資料の材料(8件)
  • 9/16 バトラーチーム会議の録音要約(「王様の別荘」、35時間、試泊の振り返り)
  • 9/15 定例の録音要約(2階レストランのメニュー未定、試泊の直しの分担)
  • 9/14 BMの録音要約(オーベルジュのブランディングを今日扱う決定)
  • サービスフィロソフィー v11.2(現場向け・10の原則)
  • オーベルジュのロードマップ(カフェの日程、ブランディングの担当)
  • ブランドブック3月版の抜き書き
  • サービスコンセプト(2026年3月・社長合意用)
  • 9/15 BM 議題「プライベート・リゾート・クラブ」